【外国為替市場概況】リスク志向高まりドル安・ユーロ高

【外国為替市場概況】リスク志向高まりドル安・ユーロ高
　ニューヨーク(ダウ・ジョーンズ)11日の外国為替市場では、投資家のリスク志向が高まるなか、ユーロがニューヨーク市場でドルに対して1セント以上上昇したが、その後は7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議を前にした売りで値を消した。

　この日発表された米経済指標が堅調だったにもかかわらず、ユーロは8営業日ぶりの高値1.4241ドルをつけ、過去最高値の1.4283ドルに迫った。日本銀行が政策金利の据え置きを決めたため低金利の資金調達通貨が確保され、外為投資家は高利回り・高リスクの持ち高を形成する動きを強めた。

　しかし、ニューヨーク市場の取引終了にかけて円キャリー取引への需要が後退したことから、円はいくぶん持ち直す一方、ダウ工業株30種平均は反落した。

　ユーロが最近つけた過去最高値を更新するのは、おそらく今月末にワシントンで開かれるG7以降になるだろう。ただ、12日に発表される米9月の小売売上高が強ければ、一時的にユーロが下げるかもしれないとアナリストは指摘している。

　米9月の小売売上高は米経済の健全性を占う重要指標だが、ドルを押し上げるためには相当に強い内容でなければならないとFXソリューションズのチーフ市場アナリスト、ジョセフ・トレビサニ氏は話す。

　この日の取引でさらにドルの重しとなったのが、来週末のG7だった。欧州諸国の首脳が最近、ユーロ高に対して懸念を表明し、何らかの措置や声明の実現に向けてこの問題をG7で取り上げる意向を示している。

　「G7で何らかの具体的な発言や介入が行われるとは誰も考えていないだろう。だが、市場はユーロを過去最高値圏に押し上げる前に、米9月の小売売上高やG7を消化したいと考えているだろう」とトレビサニ氏は言う。

　日中にかけてユーロが上伸した一因は、円キャリー取引にあった。日銀が政策金利の据え置きを決め、福井日銀総裁が向こう数カ月間の金利据え置きの可能性を示唆したことを受け、円はアジア市場や欧州市場でユーロやドルに対して売られ始めた。

　その結果、ユーロは2カ月半ぶりの高値167円63銭をつけた。また、ドルも117円79銭をつけ、8月半ば以来の高値まで上昇した。

　欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁が、これまでの発言でユーロ高に対して強い警戒心を示さず、主に物価安定と不確実性の低下に焦点を置いていることから、投資家はユーロ高を見据えた持ち高の形成に安心感を抱いている。

　「実際には何も変わっていないのだから、ユーロを買うのは当然だろう」とトレビサニ氏は言う。

　この日発表された米経済指標が堅調だったことから、ドルは一時的にやや持ち直した。

　米商務省が発表した8月の貿易赤字は、7月の590億ドル(改定値)から2.4％減少し、575億9,000万ドルとなった。エコノミスト予想は590億ドルだった。輸出が堅調な一方、外国製品に対する国内需要が低下したことが示された。

　さらに、米労働省が発表した10月6日までの1週間における週間失業保険新規申請件数が予想外に減少し、10-12月期の米労働市場が好調な滑り出しであることを示唆した。

　一方、原油価格の上昇に支えられ、カナダドルが米ドルに対して31年ぶりの高値をつけた。米ドルは1976年11月以来となる0.9730カナダドルまで下げた。また、オーストラリアドルも米ドルに対して23年ぶりの高値となる0.9059ドルをつけた。

　NY市場終値 11日17時50分 (10日17時50分)

　ドル 117円35-40銭 (117円19-23銭)

　ユーロ 1.4200-04ドル (1.4141-43ドル)

　英ポンド 2.0334-38ドル (2.0420-25ドル)

　スイスフラン 1.1811-15フラン (1.1827-31フラン)

　ユーロ 166円67-72銭 (165円69-74銭)

　豪ドル 105円69-76銭 (105円13-18銭)

　英ポンド 238円63-81銭 (239円29-47銭)

　カナダドル 120円20-25銭 (119円35-40銭)

　NZドル 90円44-52銭 (89円32-40銭)

日本経済新聞 - 2007年10月11日



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